ガソリンスタンドから走った
真人の車は美咲の家に到着した。
「ただいま」
玄関に入ると、邦雄が
台所で料理をしていたのだ。
「お帰り、美咲。
外は寒かっただろう?
早く、中に入れよ」
「あなた、途中で真人さんに
あったから送ってくれたの」
「兄貴、義姉さんが
痴漢に遭いそうになったんだ。
たまたま、オレが見つけて助けたんだ」
「痴漢なんて、怖かっただろう?
でも、無事でよかったよ。
真人、美咲を助けてくれてありがとう。
そうだ、おまえ今日の夕飯まだだろう?
一緒に食べていけよ。
調子に乗ってつくりすぎたんだ」
「それなら、遠慮なくゴチになるよ。
義姉さん、胃薬を用意してね」
「真人、おまえはプロの腕前を
持っているオレを信用していないな。
料理に関しては、調理師免許を
持っているんだぞ」
「わかったよ、兄貴のうんちくは
長いからゴチになるよ」
それから真人は、トイレを借りる
ふりをしてバスルームに行った。
バスルームには、美咲が使っている
シャンプーとリンスがあった。
怪しいと思った真人は洗面所を調べた。
見つけた。
洗面所の下の戸棚に、麻子の使う
シャンプーとリンスが紙袋に入っていた。
美咲の言うとおり、麻子は来ていたのだ。
これで、動かぬ証拠をつかんだと
真人は確信をした。
「真人、早く来いよ。
料理が、冷めてしまうぞ」
「わかった、今行く」
真人は、急いで
ダイニングルームに戻っていった。