真人と夫婦になるまで
時間はかかったが、
今は静かに時間の流れを
楽しむようになっていた。
そして、月に一度は高見沢家の墓に
埋葬されている邦雄と天国に行った
子供に会いに行っている。
邦雄の死からもうすぐ二年、
つかの間でも夫として
暮らしてきた日々を
美咲は懐かしく感じていた。
そして、今の夫である真人と
幸せに暮らせるようにと
美咲は、お墓の前で
手を合わせていました。
「兄貴、オレたちは幸せに
やっているから安心してくれよな。
今度、転勤になったんだ。
そこで、体育を教えていく。
学校は、共学だから
いろいろと忙しくなるが頑張るよ」
そう言うと真人は、
お墓の前で手を合わせた。
そして、墓参りが終わり車に乗った。
「さぁ、帰ろうか」
「そうですね」
「詩織のチャイルドシート、
しっかり締めてくれよな」
家族三人が笑って暮らせるようにと
美咲は祈っていた。
そして、真人と夫婦として
結び付けてくれたことに感謝していた。
これからできることは、
夫婦で明るい家庭を築くことだ。
邦雄と築くことができなかった家庭を、
これからは真人と一緒に築いていきたい。
それは、真人も同じだった。
一家の主として家族を守っていく。
愛する妻と一緒に家庭を守っていく。
そのためなら、
どんなことがあってもかまわない。
一人ならできなくても、二人ならできる。
兄から託された妻、
美咲を必ず幸せにしてみせる。
そして、車を走らせて
二人は家路についた。
家のなかでは、
温かい家族の笑い声がしていた。
この幸せが、永遠に続くことを
祈ってやまない美咲だった。