美咲の出産から1カ月が過ぎ、
美咲は詩織を連れて
奈津子の店に来ていた。
奈津子は、美咲が
母親になったことを喜んだ。
「赤ちゃんってかわいいわね」
そう言って、ニコニコしながら
言う奈津子は、美咲にとって
特別の存在になっていた。
幼なじみで1人で頑張る女性。
美咲にはできないことを
奈津子はやってのけた。
「あのね、アメリカから手紙がきたの。
手紙を読んだら、中身は
あんたのことだったのよ。
差出人は、言わなくてもいいわよね?」
そう言って奈津子は、
美咲に手紙を渡した。
手紙には、美咲に子供が
産まれてよかったと書いてあった。
そして、おめでとうと
伝えてくれと書いてあった。
差出人は、瑠衣子だった。
美咲に内緒で瑠衣子は、
奈津子に手紙を書いていたのだ。
「瑠衣子、アメリカで
頑張っているかしら」
「そうね、あの子は
昔から負けず嫌いだもの。
きっと、頑張っているわよ。
美咲、あたしたちも
負けずに頑張りましょう」
「そうね、私は詩織が1歳になるのを
めどに職場復帰するわ。
前の学校から養護教諭として
復帰してほしいと連絡がきたの」
「すごいじゃない。
それじゃ、夫婦で同じ職場になるの?」
「残念ながら真人は、
別の学校に配置転換になったの。
だけど、学校は変わっても
頑張っていくって言っていたわ」
「そうなんだ。だけど、生徒たちは
真人を慕っていたのに残念ね。
だけど、真人なら新しい学校でも
生徒たちに慕われるわよ」
「ありがとう、奈津子。
真人も新しい職場で
頑張ってくれると信じているから」
「頑張るのよ、あたしも応援するからね」
奈津子に励まされて美咲は、
母親として頑張ろうと決意した。
真人と詩織のためにも自分は、
家庭を守っていこうとそう思っていた。