やがて朝になり、美咲は
朝ごはんの支度をしていた。
冷蔵庫にあった卵で
オムレツをつくっていた。
そこに食パンがあったので、
トーストにしてコーヒーを用意した。
「おはよう」
真人が、起きてきた。
「おはよう、真人さん。
朝ごはん、できたわよ」
「うまそう」
真人はよほどうれしかったのか、
美咲の朝食に大喜びしていた。
「やっぱりさ、彼女が作ってくれる
手料理が一番だよな」
「喜んでくれてうれしいわ。
冷めないうちに食べましょう」
そして、二人で朝食を食べた。
その時に、真人が言った。
「美咲が、いつもつくってくれる
弁当はうまいぜ。
毎日、弁当箱を見ても
飽きないんだよな。
毎日の献立を考えるの大変だろ?」
「それは、私が好きで
やっていることよ。
そんなに苦にならないわ。
お料理も結構楽しいもの。
それに真人さんは、外食になるから
体を壊さないようにと思ったの。
だから、心配しないで」
「ありがとう、美咲。
オレ、夕べおまえと
過ごしてよかったよ。
こうして愛が深まったと思った。
おまえを抱きしめて
恋しい気持ちが深まった。
いつも優しくしてくれてありがとう」
真人の言葉は、
美咲への感謝の言葉だった。
兄だけではなく、自分にも
優しくしてくれることに
うれしく感じていた。
兄の妻でもかまわない。
愛してしまった心は止まらない。
兄が姉との関係を清算しないなら、
自分が守ってやると思っていた。
それは、美咲も同じだった。
友達を裏切ってもかまわない。
もう後戻りはできないのだからと
強く言い聞かせていた。
「美咲、服の着替えを
持っていないだろう?
瑠衣子の服を置いているけど、
おまえには似合わないからな。
それでさ、この服なら
おまえに似合うと思って買ったんだ」
「これを私に?」
「着てみろよ。きっと似合っている」
真人はそう言うと、
美咲に洋服の入った紙袋を渡した。
美咲は、真人から
渡された紙袋をあけた。
紙袋には、ローズピンクの
ニットのセーターと
黒のタイトスカートが入っていた。
いつの間に自分のサイズを
覚えたのだろう?
不思議に思った美咲は、
別の部屋で新しい洋服に着替えていた。
洋服に着替えた美咲は、
真人のいる部屋に戻った。
「よく似合っているよ」
「ありがとう、うれしいわ」
「サイズもピッタリだったみたいだな」
「洋服をプレゼントされるなんて
思わなかったわ。
ありがとう、真人さん」
「どういたしまして」
美咲は、真人の思いがけない
プレゼントをもらってとても幸せだった。
このままの幸せが、ずっと続きますように
と願ってやまなかった。