「兄貴になんて言ったの?」
「熱が上がっているから
看病するって言ったわ」
「仮病を使ったわけか。
まぁ、いいけどな。
それじゃ、行こうか」
真人はそう言うと、
車を自分のマンションに走らせた。
そして、車を降りると
すぐに部屋の鍵を開けて
部屋に入っていった。
美咲は、さっき夕食をすませたままの
洗い物を片づけ始めていた。
水道の蛇口から水が流れているのを見て、
美咲は涙を流していた。
それを見た真人は、美咲の肩を抱いた。
「美咲、オレがついているよ。
兄貴と離婚をしろ。
離婚をしてしまったらいいんだ。
そうしないと兄貴の目が覚めないよ」
「真人さん」
「オレは、高校の時から
おまえが好きだった。
おまえの思いは、兄貴に負けない。
だから、オレを信じてついてきてくれ」
「あなたには、瑠衣子がいるわ。
瑠衣子は、どうするの?」
「瑠衣子とは別れる。
瑠衣子とは、1年前から
擦れ違いがあった。
仕事と自分の趣味を優先する
わがままな態度に疲れたんだよ。
そんな時に、おまえが優しく
オレを包んでくれた。
本当の恋人なら、
彼氏が熱を出していたら
すぐにでも駆けつけてくるのに、
瑠衣子にそれを求めても
無駄だと諦めていた。
だけど、おまえは違った。
熱で苦しんでいるオレを
一生懸命看病してくれた。
うれしかった、
兄貴の妻でもかまわない。
こうしてそばにいてくれる
女性が必要だった。
だから、おまえを愛した。
兄貴が姉貴と関係を持つなら、
オレがおまえを守ってやると思ったんだ」
「不倫になるのよ。
それでもかまわないの?」
「オレは、かまわない。
おまえといられるなら、
地獄に行ってもかまわない。
美咲、何も恐れないで
オレだけを見て。
オレだけを愛してくれよ」
「真人さん、このまま
邦雄から私を奪って。
このままじゃ苦しいの。
助けてほしいの」
「美咲、おまえにはオレがいる。
オレだけを信じて愛してくれるか?」
美咲は、真人の言葉に
コクンとうなずいた。
すると真人は、
美咲を抱きしめてキスをした。
真人にとって、
美咲が愛おしく思ったのだろう。
このまま愛し合いたいと
思ったのは自然の流れだった。
その日の夜、二人は激しく
求めて愛し合った。
激しいセックスを重ねて
二人は一夜をともにした。