なんで、そう思うの。
わたし、何か、おかしいこと、した?
「変じゃ、ないよ」
「うそ」
うそ、ってなんで。
戸惑うわたしをよそに、なるちかくんが自然な動作で、手の甲をわたしの額に押し当てる。
「……っ!?」
「熱はないかー」
「ないよっ」
なるちかくんって、ほんと、ほんと……!
そうやって簡単に触ってきたり、こっちの気も知らないで。
むーっと頬を膨らませてなるちかくんを見る、と。
「あ、やっと目が合った」
嬉しそうに目尻を下げる。
「今日、ぜんっぜん目が合わないから、怒らせたかと思った。心あたりもないし、ほのかちゃんムズーって」
「……目、合わなきゃだめなの?」
「寂しいじゃん?」
軽く肩をすくめたなるちかくん。
その脇腹をドスッと小突きたくなった。……しないけど。
「……なるちかくんの人たらしっ」



