「終わらせるよ、ちゃんと」
ぜんぜん悲しそうな顔じゃない。
なのに、見ていると、わたしの方が悲しくなる、そんな表情。
「頑張っても、いくら望んでも、どうしたって、りっちゃんの一番にはなれないし」
「……っ!」
なるちかくんはいつもきらきらしていて、みんなの中心にいて、軽い調子でなんでもうまくこなしてしまうから。
器用になんでも自分で────なんなら他の人の分まで、片付けてしまえるから。
そんななるちかくんには、悩みごとなんてないんだと勝手にそう思っていた。
たとえ、悩みごとがあったとしても、それは、わたしとはぜんぜん次元のちがうところにあるのだと決めつけていた。
けれど────。
「わかる、よ」
「え?」
「“いちばん” になれなくて、それが苦しいの、すごくわかる」
“いちばん” とか “とくべつ” とか。
すごい、すてき、憧れ、羨ましい。
そういうものを手にしているひとって、きらきらしていて、唯一無二だもん。
……逆に、そういうものが何もないわたしは、たまにとっても不安になってしまう。
ほかに代わりのないひととはちがって、わたしは、ここにいるのが別にわたしじゃなくてもいいのかもしれないって怖くなる。
簡単に、ひとことで言ってしまうなら、これは “劣等感” 。



