「ま、俺のは終わった恋だけど」
「……? まだ、終わってないよ」
わたしの言葉に、なるちかくんはびっくりしたように目を見開いた。
なんで、そんな顔するの。
終わってないよ、なるちかくんの恋は、ぜんぜん。終わってないでしょ?
りっちゃん先生のことになると、なるちかくんの表情が柔らかくなったり固くなったり、脆くなったりするの。
それって、ぜんぜん終わってない。
「ふは、そーかもな、終わってないかも」
「うん」
「でも、終わらせなきゃだめなんだよ」
「……っ、そんなこと」
「そんなことあるから。俺がりっちゃんのこと、好きでいても、困らせるだけだろ。迷惑なんだ」
今度は物わかりのいい顔をする。
ころころと表情を変えるなるちかくんに合わせて、その金色の髪も、輝きが強くなったり弱くなったりしているみたいにも見えた。
なんだっけ……、なんて言ってたっけ……、そう。
変光星だ、変光星みたい。
『くじら座のミラはね、変光星なの』
『へんこうせい……?』
『不規則に明るさを変化させる星のことです、これはテストに出ます』
『ふふ、テストには出ないよーっ』
りっちゃん先生との会話を思い出す。
なるちかくんは、あの星に似ている。



