振り向きざま、目の前に落ちた影に驚いて。
思わずへんに裏返った悲鳴をあげてしまう。
「あーあ、落ちちゃった」
その拍子に、宙に舞い上がった保健だより。
呆れたように笑って、拾い集めるのは。
「なるちかくん、あの」
「んー?」
「どうしてここに……」
「どうしてって、昼に佐野に言ってたじゃん、放課後は保健委員の仕事だって? だから、ちょっと覗きに来てみた」
「ええと」
それだけ?
そんな理由で、わざわざ印刷室まで?
それってまるで────いやいや、ないない。なるちかくんには好きなひとがいるんだもん。
「てか、また重いの一人で運ぼうとしてんね」
「いやっ、重くないよっ」
なるちかくんが拾ってくれた紙束を、奪い返して、抱えてみせる。
重くないもん、ほんとに。これくらい平気だってば。
「ほのかちゃんって、どエムなの?」
「……!?!? どえ……っ!?」



