水曜日、あたりまえのように、ここにいるなるちかくん。
わたしたちからは少し離れたところで、今の今までじーっと座っているだけだったのに。
「ほら、この式。これでyが消える」
わたしとりんくんの間に割りこんだなるちかくん。
少し動くたび、なるちかくんの金色の髪がふれて、こそばゆい。
なんて思っているうちに、なるちかくんがこんがらがった式をするするとほどいていく。
「な、これで終わり」
「ほんとだ、すごい……」
息を呑む。
あんなに苦戦した問題を、一瞬にして解いてしまった。
これには、りんくんも、それかられーちゃんも目を見開いている。
「……三上ってマジで、頭いいんだ」
「すごいね! なんかもう、異次元って感じー!」
なるちかくんに目を輝かせるふたりにはっとする。
見ていられなくて、目を逸らして。
シャーペンを握る指先にきゅっと力が入った。
……なるちかくんは、すごいな。
「あ! 待ってもうこんな時間!」
ふと時計を確認したれーちゃんが、ガタンッと音を立てて立ち上がる。
「れーちゃん?」
「今日、このあとチア部のミーティングがあるの! もう行かなきゃ!」
机に散らばったままの筆記用具もそのままに、慌ただしく保健室を飛び出していく。
仕方ない、れーちゃんの荷物は、あとでりんくんに持って行ってもらおう。同じ教室なんだし。



