れーちゃんが、肘でりんくんを軽く小突く。
いくらなんでも “ほのかに構ってほしいから” なんてそんなかわいい理由じゃないと思うけれど……。
それに、もう今さら愛想をつかしたりもしない。
何年の付き合い、って感じだもん。
ただ。
「ふつうに心配なだけだよ、いつかりんくんが大怪我することになるかもしれないし」
気をつけてほしいものである。
「ふーん」
素っ気ない相槌だけど、まんざらでもなさそう。
「りんくん、とりあえずその怪我は……」
大丈夫? と頬のキズを指して、そう聞く前に。
「あとで消毒して」
「あとでいいの?」
「……先、こっち。数学」
とんとん、とりんくんが教科書を指し示す。
例によって、単元のど頭だ。
りんくん、真面目に授業を聞いてさえいれば、これくらいひとりで出来る地頭はあるはずなのに……。
と思いつつ、まあいいか、と許してしまう。
慣れって怖いな。



