「りんくん、どこがわからないの?」
「全部」
「ぜ……っ」
絶句。
すると、れーちゃんが呆れたように。
「麟太郎はほのかのこと困らせたいだけでしょ」
「あ? 本気で全部わかんねーんだよ」
「それは麟太郎がばかだからじゃん。だいたい、ほのかがいなかったら、この学校にもぜったい合格できてなかったもんねー」
「それはオマエもだろ」
れーちゃんとわたしとりんくん。
こうした……三人での勉強会は、そんなに珍しいことじゃない。
中学生の頃からテスト前は気づけばこの状態だった。
そして、高校生になってからも、いつも、保健委員のしごとでここにいる私のところに、とつぜんふたりが押しかけてくるの。
やいのやいの、いつのまにか、保健室はにぎやかになって、机いっぱいに教科書やらノートやらが広げられている。
「とりあえず、全部ヤバいんだって、マジで」
助けろ、とりんくんの目が訴えかけてくる。
「うーん、りんくん、とりあえず……どの辺りまではわかりそう?」
「かろうじて、ここまで」
りんくんの傷だらけの指先がとん、と押さえたのは、教科書のほんとうにはじめのところだった。
あちゃー……と頭を抱える。



