いちばん星の独占権




指先にゆるくふれていた、なるちかくんの手がそっと離れて。

一呼吸おくこともなく、また掴まれた。



今度は、がっしり、手のひらごと。





『ほのかちゃんの手、落ちつくー……』





へらり、と笑ったなるちかくんのまぶたが落ちていく。


少しして、すやすやと安らかな寝息が聞こえてきた。




ふー……と息を吐き出す。
どきどきしてしまったのも、こんなの、仕方ないと思う。条件反射だもん。


男の子と手を繋いだことなんてない、ましてやなるちかくんと、それもこんな……甘えるみたいに。




なるちかくんは、赤ちゃんみたいな無防備な寝顔を晒していて、前髪が流れておでこが見えている。

ちょっとかわいい、かも。



こんな姿、いつも“三上くん”を取り巻いている女の子たちが見たら発狂ものだと思う。

今なら寝顔撮り放題、レアショット、高く売れそう。



でも不思議とカメラに収める気は少しも湧いてこなかった。





『なるちかくん』




もちろん返事はない。

そのまま、ただじっと、離れることもできずになるちかくんの寝顔を見つめていたの。



なぜか、繋がった手のひらは、なるちかくんの早退の支度ができて、保健室に先生が戻ってくるまで、離れることはなかった。





────なるちかくんとはこれっきりかな、とその日の夜、家に帰ってからぼんやりとそう思った。


でも、それとは正反対に。


それから少し経った水曜日、とつぜんなるちかくんは、また保健室に現れたのだ。



その日から今もずっと、毎週水曜日、仮病をつかってなるちかくんは保健室を訪れる。