『……待って』
熱っぽくかすれた声に呼び止められる。
『なるちかくん?』
振り向いたわたしの指先を、なるちかくんの手のひらがつかまえた。
風邪っぴきの弱い力、だけど振りほどけない。
『どうしたの、なるちかくん』
顔を覗きこむと、熱でうるんだ瞳と目が合った。
その揺らぎに吸いこまれそう、なんて。
『ほのかちゃん、……ここにいて』
『……え』
どきり、不整脈。
『っ、なんでっ?』
『なんか、ほっとする』
ほとんど初対面なのに?
へんだよ、そんなの。
そう言えたのは頭の中だけで、じっさいは口をぱくぱくさせて固まることしかできなかった。
せめて、動揺していない風を装うので精いっぱい。



