いちばん星の独占権




『でもっ、なるちかくん』

『なにか文句ある? ほのかちゃん』

『うっ』




有無を言わさないなるちかくんに降参する。

だめだ、なぜか、なるちかくんは1歩もひく気はないらしい。




重みがぜんぜん違うのに……。

わたしがなるちかくんを呼ぶのと、なるちかくんがわたしを呼ぶのとでは。




未だになるちかくんと会話していることが信じられないくらいなのに、その辺りの心の機敏をなるちかくんはまったくわかっていない。




むう、と唇をとがらせていると、『はー……っ』と熱をもった吐息の音がして、我に返った。


そうだ、なるちかくんは病人だった。

完全に忘れてしまっていた、ごめんなさい。




『なるちかくん、だまって、寝て、休んで!』

『うわ、急に、なに』




記入が終わった利用カードを取りあげて、なるちかくんの腕をひいて立ち上がらせる。




首のうしろにあてていた氷嚢はどろりと溶けていて、なるちかくんの体温の高さを思い知った。高熱、要注意患者です。




シャッとカーテンを開けて、現れた白いベッド。

シーツがぴしっとシワひとつない清潔な状態でかけられている。