『名前、なんて言うの?』
『え……』
『教えてよ、名前』
『わたし……?』
きょと、と首をかしげる。
すると、また『ははっ』とクリアな笑い声が響いた。
病人らしからぬ、明るい笑い声。
『そうに決まってるじゃん、保健委員さん』
『ええ……? ええと、枢木ほのか、といいます』
『くるる?』
『くるるぎ、ほのか』
どう書くの、となるちかくんが聞いてきたから『木へんに市区町村の区をかいて、もうひとつ木、名前はひらがなだよ』と説明しながら人さし指で宙にすいーっと名前を書いてみせる。
『なるほど、枢木ほのか、ね』
こくりと頷いた。
あの “三上くん” がわたしの名前を口にしているなんて、変な感じ。
なんだか、背筋のあたりがぞわぞわする。ぞわぞわ、というかもぞもぞ、というか……。うーん、やっぱり変な感じ。



