その仕草に納得いかなかったのは、わたしの方だった。
『厄介って、どうして?』
『どうしてって……』
『すっごく素敵なのに』
だって、ほら。
『 “ナルチカ” って星の瞬きみたいな名前』
口にするたび、キラリと音がするような。
その響きはびっくりするくらい、なるちかくんにぴったりだ。
うらやましい、と重ねて言うと『ははっ』となるちかくんの屈託のない笑い声で保健室が満たされていく。
『……なるちかくん、なんで笑うの』
『面白いね、きみ』
“面白いね” って褒め言葉……?
いやいや、ぜったいにちがう。
ちょっと馬鹿にされているのかも、なんて。
むむ、と眉間にしわを寄せたところで。



