ええと、それから。
下にさらに視線を動かすと、ぱちっと目が合った。
名前を書く欄、見慣れない “三上成哉” の4文字。
そのときまでずっと、“三上くん” としか認識していなかったから、フルネームとご対面するのは、このときがはじめてだったの。
みんなも、“三上” としか呼ばないから。
三上、成哉……。
『みかみ、なる、や……?』
ぽつり、呟いた声。
熱にうかされながらも、拾ってくれたなるちかくんは首を横にふって笑った。
『ナルチカ。よく、読み間違えられる』
『みかみ、なるちかくん』
『そう。一発で読んでもらえたことないんだよね』
ナルチカ、ナルチカ。
もごもごと口を動かしてみる。
『だから、ちょっと厄介な名前』
くす、と笑って肩をすくめるなるちかくん。



