『れーちゃん、氷おねがいっ!』
『りょーかいっ』
保健室の片隅、ぽつんと設置された冷凍庫から、れーちゃんに氷嚢を取りだしてもらう。
そのあいだに、話すことすらままならない様子のなるちかくんの脇に体温計を挟みこんだ。
────ピピッ。
『38度、きゅう……』
ほとんど39度の高熱。
この時期だから、夏風邪をこじらせた、とか……? ともかく、この熱はたいへんだ。一大事。
『三上くん、ちょっとひやっとするけど、がまんしてね』
『ん……』
れーちゃんから受け取った氷嚢を、なるちかくんの首のうしろに挟みこむ。
解熱したいときは、ふとい血管をねらって冷やすといいって、いつか、聞いたことがある。
首のうしろとか、脇とか、ふとももとか……。
ひんやりとした冷たさに、きゅうと目を細めたなるちかくんを横目に、引き出しから一枚、紙を取りだした。
『三上くん、これ、書かなきゃいけなくて……』
『……ん』
『大丈夫? ちょっと休んでからでもべつに……』
『……や、だいじょーぶ』



