『三上……くん?』
金色が目の前でさらりと揺れる。
こんな近距離ははじめてだった。
いつもは遠くから眺めているだけだった金色。
近くで見ても、息をのむほど綺麗で、数秒間、見惚れてしまう。
少ししてから、我に返った。
『あの、どうされたんですか────って』
赤い。
今さら気づく。
金色に気を取られて、意識がそちらに向いていなかったけれど、改めて見れば、なるちかくんの頬は真っ赤に火照っていて、薄くひらいた唇から苦しげな吐息を零していた。
息も、荒い。
『っ、りんくん、そこちょっとどけて!』
『おい、何いきなり────』
ソファに座るりんくんをドンッと勢いよく押し退けて。
空いたスペースになるちかくんを座らせた。
ふれた腕はおどろくほど熱くて、あわててなるちかくんの額に手を添えると、うだるくらいの熱が伝わってくる。
『ひどい熱……っ』
思えば、あのときが最初で最後だった。
なるちかくんが仮病じゃない、ほんとうの体調不良で保健室に訪れたのはこのとき限り。



