いちばん星の独占権



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꙳ ︎



「麟太郎! 今日はタコスね! ちなりんたろの奢りだから!」

「あ?」



夏休み。

今日こそはゆっくりダラダラ……と思うたび、玲奈が家に乗り込んでくる日々を過ごしていた。


正直、助かる部分もあった。




「あ、やっぱ玲奈が奢ったげる! 麟太郎傷心中だからな〜、出血大サービスってことで」

「おまえ、ほんとウゼエな」




ぼーっとしていると、ほのかのことをどうしても考えてしまうから。



つうか、玲奈も玲奈で、よく飽きもせずいつもいつも俺のところに来るよな。

こいつが俗にいう美人であることを知っている。そのくせ男の影ひとつもない。




「玲奈は、男つくんねーの」

「……。ふは、それは麟太郎次第かな〜」

「なんだそれ」



まあでも。




「玲奈に彼氏ができたらそれはそれでウゼエな」

「……っ、うっざ!!!」



ふい、と玲奈が顔を背ける。

ポニーテールがぐりんと揺れて、夏だな、となぜかこのタイミングで思った。




「あー、花火してーな」

「いいね、やろうよ」

「……」




3人で河川敷で手持ち花火をする。
それがいつもの夏だった。

でも、今年は、今年からは────。




「ほのかも誘って3人でやろ!」

「っ、な」




玲奈が俺の心を読んだかのようなタイミングでにかっと笑う。




「麟太郎」

「……なんだよ」


「私たち、なんにも変わったりしないよ。麟太郎の居場所はいつだってここにあるんだよ」




そのタイミングで、ポコン、とラインの着信音。見ると、ほのかからで。



[ りんくん(><) ちゃんと課題すすんでる? やらなきゃダメだよ ]



ああ、そうだ。
そうだった、よな。




「……やっぱ、玲奈ウゼエわ」

「は? そんなこと言うならタコス麟太郎の奢りでよろしく」





END