たった5文字すら覚えてくれなかった。
それで呼び名が「りんくん」になった。
「りんくん、みんなと遊ぶのがいやなら、わたしと遊ぼうよ!」
「はあ? なんでだよ、オマエはみんなと遊びたいんだろ」
「ケイドロすぐにつかまっちゃうからにがてなんだー、りんくんとおままごとする! わたしがおねえさん役で、りんくんはペットのはむすたーだよ!」
「……」
へんてこな始まり方だった。
けれど、なぜかほのかはそれから毎日俺のそばにくるようになった。
それから学校があんまり嫌いじゃなくなった。
そこに行けば、ほのかに会えるから。
彼女が、俺に、居場所をくれるから。
────あのときから、最初からずっと、ずっと、ほのかのことが好きだった。



