「なにびっくりしてんの。俺、言っとくけどほのかちゃんにそうとう弱いからな」
「そう、なの?」
「そうじゃなきゃ、こんなとこで抱きしめるほど堪え性ないことになってない」
それもそうか、なんて思う。
いったんは冷静に、そして数秒後に爆発。
嬉し恥ずかしで真っ赤に頬を火照らせていると。
なるちかくんが、こつん、と額をぶつけてきた。
「キス、していい?」
聞かれると困ってしまう。
バクバクと鼓動がうるさくて、そのあとどう返事したのかもわからない。
ただ、こくん、と頷いたことだけはわかる。
そしたら、なるちかくんの整った顔が近づいてきて、わたしは瞼をおとして。
ちゅ、と唇がふれたのは。
「……っ、え」
あわてて、ぱちりと目を見開いてしまう。
なるちかくんの唇がふれたばかりの頬をてのひらでおさえた。
ほっぺ、だったの……っ?
てっきり口だと────なんて、まるで期待していたようなことを考えて、ふしだらだ……! と自分をなじる。



