慈しむような……ちがう。
大切なものを見るような……ううん。
────これは、いとしいものを見つめる目。
おだやかで、優しくて……でもその奥に隠しきれない熱情を孕んでいる。
なるちかくんのことなんて、正直はんぶんもわからないのに、なぜかそれだけはくっきりと伝わってきた。
なるちかくん、その顔は。
……笑っているの? 怒っているの?
困っているの?
────それとも。
「……」
なるちかくんの瞳から、りっちゃん先生の影がふっと消える。
なるちかくんの瞼がゆっくりと落ちてくる。
消えていく影を閉じこめるように、まつげを数回はためかせて、瞬きをするその仕草は。
「……泣いている、の?」



