〈 なのに、なんでそんな簡単にあきらめようとするかなあ、もったいないなって、思う。せっかくついた自信、ここで使わなくていつ使うのよってね 〉
「っ、うん」
〈 それに、諦めようたって、諦められるものでもないでしょ。好き、ってそんな簡単にやめられる感情じゃないよ。ほんとうの終わりがくるまで、ずっとつきまとってくる、ほのかだって、もう、わかってるんじゃない? 〉
こくり、と頷いた。
電話の向こうにいるれーちゃんには、それは見えなかったはずだけれど、どういうわけか伝わったみたいで、かすかに笑った声が聞こえてくる。
〈 私じゃなかったとしても、たとえば────三上くんが好きだっていうひとに対しても、同じように、妬くの、もうやめられないでしょ 〉
まるで心の内をぴたりと言い当てられたみたいで。
なるちかくんと、りっちゃん先生。
並ぶふたりを見るだけで、苦しくなってしまう胸の内をのぞかれたみたいで。
観念して、ほろりと、こぼす。
「……醜くて、やになるの。そう思ってしまう自分がいやで、逃げたくて、でも────」
〈 だめだったんでしょ、わかるよ。わかるよ、ほのかの気持ち、私も同じだから 〉
「れーちゃんも、同じ?」
〈 汚いことを平気で思えてしまう自分がいやだ、けれど好きにならなきゃよかった、なんて思えないんだよね。……仕方ないよ、しょうがないんだよ、人を好きになるってそういうことだと思う 〉



