「三上くんは、来てくれない?」
りっちゃん先生がもう一度たずねたタイミングで、ちらりとなるちかくんの横顔をうかがう。
それで、息を呑んだ。
え……っ?
「……っ」
なにその顔、見たことない。
一瞬、たった一瞬だけだけど、見逃さなかった。
ほんの一瞬、されど一瞬。
────なるちかくんの端正な顔が苦しげにくしゃりと歪んだの。
まつげに反射してキラリと光る陽光が、まるで……まるで、涙の粒に見えるくらい。
なるちかくんに全く似合わないその表情は、次の瞬間風でなびいた金髪が覆い隠してしまう。
それで、また次の瞬間には、なるちかくんは何事もなかったように口角をふっと上げて。
「行くよ」
「ほんとっ? やったー! じゃあ、ふたりの分の席も準備しとくねっ」
「つーか、俺、行く必要あるの?」
「ありますよう。よりたくさんの人にお祝いしてもらえたら、嬉しいでしょっ?」
「はは」



