『どーせ、失恋してるんだし』
『いいんだ、もう可能性はゼロだし』
そう言って、諦めきった────それでいて未練をしっかり残したままの、切なげな表情をしていたのに。
『それとも俺が婚約者のいる人を奪えるような男に見えた?』
あのときとは、まるきり、ちがう。
「告白、するってこと……?」
「ん、や、それはまだ」
そこで、ほっとしてしまう。
けれど。
「でも、マジで振り向かせたいんだよ。もうなりふり構ってらんないっつーか、普通に、余裕ない」
俺よりほかに、もっと似合う男がいるかもって思ってもさ、と言葉をつなげて。
「渡したくない。隣は、誰にも」
「……っ」
そんな、まっすぐな目で言わないで、ほしい。
「譲れない、ってここまでちゃんと思ったの、初めてなんだわ」
そんな、まっすぐな声で言わないで。



