途中で言葉をとめて、りんくんは眉をぎゅっと寄せる。
そして、不機嫌丸出しの表情のまま、ぶすっと不本意そうに、掠れた声で呟いた。
「キスしたってことかよ、男と」
「ちが……! ちがう、もん」
「……へえ」
違くないけど、とっさに否定してしまう。
そんなわたしに『へえ』と妙にそっけない返事ひとつだけのりんくん。
わたしも、りんくんも、ちょっと変だ。
いや、ちょっとじゃない、かなり。
「ちょっと気になっただけなの! 男の子の一般的な意見が知りたいというかですね」
「一般的な、ね」
「……いいから答えてほしいの」
上目づかいでりんくんをじ、と見つめる。
振り返って、わたしと目を合わせたりんくんは、ごく、と喉を動かして、それからはっきり言い切った。
「俺は、しねえ」
茶化すわけでもなく、真剣な顔つきで。
「好きな女にしかしねーよ。キスとか、普通に好きな奴じゃないと無理」



