わたしが都合よく作り上げた、まぼろし、だったのかな。
でも、まぼろし、なんかじゃなかったと思う……。
もう一度、指先で唇をそっとなぞってみる。
心がきゅうっとする。
────どうして、なるちかくんは、わたしにキスなんか。
考えても、わからなくて。
「ほのか?」
とつぜん黙りこくったわたしに、りんくんが怪訝そう。
……そうだ、りんくんなら、もしかしたら。
「あの、りんくん」
「あ?」
「男の子って、好きでもない子に、平気でキス、できるの?」
尋ねた瞬間、りんくんがハンドルから思いきり手を滑らせて。
「きゃ……っ!?」
がくんっと車体が傾いた。
自転車ごとふたりで倒れこむすんでのところで、りんくんがぎりぎり車体を立てなおす。
「……っぶな」
「き、気をつけて、りんくん」
「は? 今のはほのかが────」



