もうなにを言ってもむだだと悟る。
こうなったりんくんは聞く耳なしだもん。
「ちゃんと、今すぐ、持ち主に謝罪ラインを送って、今日中に自転車を返してあげてください」
「わかったよ」
まったく、素直なんだか素直じゃないんだか。
呆れたジト目で、りんくんの襟足をじーっと見ていると。
「ちゃんと掴まっとけって言ったろ」
「わ、う……っ」
ハンドルから片手を離したりんくんが、わたしの腕を掴んで、強引に引き寄せた。
それで、りんくんの腰をがっちりホールドさせる。
「危ねーから、マジで」
「……うん」
りんくんは、ときたま心配性だ。
とくに、わたしに関しては……。
りんくんに心配されるほど危なっかしいなんて、ちょっと情けない。
反省してぎゅ、とりんくんの腰にしがみつくと、なぜかりんくんが「ごほっ」とむせたように咳をこぼした。



