「あー、これ、パクってきた」
「へ……っ?」
ぱ、ぱく……。
「パクってきた」
もう一度同じ言葉を繰り返したりんくんに絶句する。
思考停止して、1秒後。
「だっ、だめだよ! 犯罪!」
「おまっ、おい暴れんな」
「だって、ひとの自転車なんだよねっ?」
「チャリねーと、ほのかのこと送れねえし」
そ、そんな理由でわが幼なじみは犯罪に手を染めたのですか。
どこで育て方を間違えたんだろう……と保護者のようなことを思いつつ。
「そういうことなら先に言ってほしかった……」
偶然、りんくんが自転車を置いていたのかと思ったから、提案にのったのに。
「言ったら断るだろ」
「そりゃあそうだよ」
「つか、これクラスの奴のだし、明日返せばいいだろ」
「そういう問題じゃないってば」
「じゃあほのかのこと送って、もっかい学校戻れば」



