いちばん星の独占権




恋愛とは無縁の日々を送っているからなのかも。恋とか、愛とか、結婚、とか……別世界のおとぎ話みたいにキラキラして見える。

憧れがないと言えば嘘になるくらいには。




「素敵なひとだよ、とっても」

「すてき……」




あまりに抽象的で、思っていた答えとはちがう。

不服に眉を寄せた私にりっちゃん先生はくすくすと微笑を落として。




「なんていうかな、この人だって思ったの。明確な判断基準はなくて、でも、この人の隣にいれば、きっと幸せになれるって何の根拠もなく思えたんだ」


「少しも迷わなかったんですか?」



「ふふ、だってナンバーワンだったんだもの。迷いなく明るい一等星、たとえるならシリウスのような人だから」




シリウス。

冬の夜空に輝く青白い星で、かつ────全天一明るい星。



揺るぎなく “いちばん” なんだ。

りっちゃん先生にとっての彼も、顔も名前も知らない彼にとってのりっちゃん先生も。



心の中で唱えた “いちばん” は、つきりと刺すようなトゲをともなっていた。……“いちばん” 、かあ。