「もうすぐ、夏の大三角が見えてくる時期だねえ」
トライアングル、と思い浮かべたところに、りっちゃん先生の『大三角』が重なったから、一瞬心を読まれたのかと思っちゃった。
もちろんりっちゃん先生はエスパーでもなんでもない。
心理カウンセラーだけあって、ひとの機敏にはこう見えて聡いひとなのだとわかってきたけれど、それは魔法なんかじゃないもの。
したがって、心を読む、なんてことは不可能。
「ほのかちゃん、今日は久しぶりにいいお天気だから、お星さまが綺麗に見えるかもだよ!」
「……ふふ」
「あっ、今、興味ないなあって思ったでしょ」
りっちゃん先生はちょっと変だ。
変、というか……話題の転換が急なの。
そして、そういうときは決まって────。
「いい? ふたりとも、6月の星空はとっても贅沢なんだから! アルクトゥルスが高いところに輝いて、その北には北斗七星、南にはおとめ座のスピカ、これをなぞると天に架かる “春の大曲線” 」
りっちゃん先生の目にはまるで夜空が見えているみたい。
保健室の白い天井を指さして、つう、と目には見えない星のすがたをなぞっていく。



