いちばん星の独占権




「どこに行くのっ?」

「さあ」

「さあ、って」

「とりあえず、佐野と島坂さんには、ひみつ、な」




また、ひみつ。

振り向いたなるちかくんは、いつかのごとく、ぴんと立てた人差し指をわたしの唇にとん、とふれさせた。

ナイショ、の合図。



「……っ」




ふたりだけの、ひみつ、に弱い。

とく、と心臓がまたばかのひとつ覚えみたいに跳ねて、鎮まれ、と頭のなかで命じた。



心臓は、自分のものなのに、言うことをぜんぜん聞いてくれない。





人気がないところまでやってきて、ついに、お祭りの喧騒とはずいぶん離れたところまで来てしまった。


暗やみ、人工の明かりはひとつもなくて、ただ、星明かりだけがなるちかくんの綺麗な輪郭をぼうっと照らしている。





「ここ、って……」

「神社の裏、いいよな、静かで」





方向にうといから、なるちかくんに言われるまで、神社の裏に来ているなんてわからなかった。



なるほど、とよくわからない相槌を打つと、なるちかくんがくすりと笑って、空気が揺れる。




小高い丘みたくなっていて、人がひとりもいなくて、ときおり蝉の声がジリジリ聞こえるくらい。




“いいよな” って思うのは、わかるかも。


だって、周りになにもじゃまするものがなくて、なるちかくんの声も表情も、余すことなくひとりじめできるもの。