「大丈夫だった?」
「……っ、え」
「あいつらに何もされてない?」
心の底から心配そうな声と表情。
わたしの顔をうしろからのぞきこむなるちかくんの、驚くほどの真剣さに心臓がとくりと音を立てる。
「何も、されて、ないよ」
「ほんと? 触られてもない?」
「えと……うん」
「うそ。触られてただろ、腕」
見せて、となるちかくんはわたしの腕をとった。
強く握られたせいか、うっすら手首に痕がついていて、なるちかくんはそれを見つけるなり顔をしかめる。
それで、なるちかくんの手のひらがその痕をやさしく癒すように、するりと何度も撫でるから。
「……あの、なるちかくん」
「うん?」
────どうして。
どうして、そんな大切そうに、宝物にふれるみたいに、わたしにふれるの。
なるちかくんにとっては、何でもないかもしれない、その仕草がくすぐったくてたまらない。



