「あの、友だちと、来てるので」
ふるふると首を横にふって、1歩、2歩と後ずさる。
「友だち? いないじゃんねー?」
「きみ、俺らといた方が楽しーよ、絶対」
「何でも奢ってあげる、任せな」
う、と言葉につまる。
どうしよう、囲まれてしまって、逃げ場もなくて。
怒鳴られたりすることはなく、思っていたより、怖そうじゃない、けれど────慣れていないのもあって、体がすくんでしまう。
こういうの、どうやって断るのが正解なの……?
「あの、ごめんなさい、本当に……」
ぺこり、頭を下げておそるおそる口にする。
それでそそくさとその場を後にしようとしたのに。
「えーっ、それはナイっしょ、せっかく声かけてあげたのに」
「……っ、や」
1人の男の人に、がっちり腕を掴まれてしまって。
「大人しそうな顔してんだから、大人しく着いてきてくんないと、そこは」
振りほどこうにも力が強い。
やっぱり、この人たち、悪い人かも。
やっとのことで頭のなかでサイレンが鳴り響くけれど、もう、ちょっと手遅れかもしれなかった。



