「……っ」
りっちゃん先生の手を、大切そうに握って歩く、背の高い男の人。
大人っぽくて、なんか、すごくて……。
そして、りっちゃん先生が彼の方をときおりちらりと見上げて、幸せそうに頬をふにゃふにゃゆるめていた。
女の子の顔、恋する乙女の顔。
────あの保健室のなかでは、決して見ることのない表情で、心がきしきし軋む。
改めて紹介されなくてもわかる、りっちゃん先生と手を繋ぐそのひとは、りっちゃん先生の恋人、兼、婚約者。
ぜったい、そう。
ほんとうなら微笑ましいデートの光景で、でも……。
「ほのかちゃん、そこから何か見える?」
りっちゃん先生たちのいる方向を見つめて固まるわたしに、なるちかくんが不思議そうに尋ねた。
それで、なるちかくん自身も体の角度を変えてのぞこうとするから、慌てて。
「だ、だめ! 見ちゃダメ、ぜったい!」
「え、なんで」
「なんでもだから、だめ……!」
「理由になってないじゃん、見たら呪われる妖怪でもいる?」
「だめだってば……っ!」
「はは、今のはツッコむとこだろ」



