「……なるちかくんはタチ悪いよ」
「ん? なにか言った?」
「なにも言ってない!」
むうっと頬をふくらませると、また小刻みに肩を揺らしたなるちかくんは、自らもあんずあめを口に放りこんだ。
覚えておこう、なるちかくんはお祭りでは真っ先にあんずあめ派なんだって。
心のメモにしっかりと書き留めて、そこでハッとする。
「お金! 返さないと、150円だったよねっ?」
なるちかくんがまとめてふたり分買ってくれたから。
慌てて巾着から財布を取り出すと、なるちかくんはゆるく首を横に振る。
「そんなのいーよ、別に」
「だめなの! こういうところはちゃんとしなきゃ、ほら、“金の切れ目が縁の切れ目” って言うんだし……」
あれ?
それは、ちょっと意味がちがったかもしれない。
まあいいや、とにかくこういうのは人としてきっちりすべきところ。
ましてや、なるちかくんとわたしは────。
ただの友達、と続けようとして思考が停止する。
ふとすると、友達ですら、あやしいのかも。
だって、なるちかくんは保健室の常連さんで、わたしはたまたまそこにいる保健委員で……。きっと、それ以上はなにも。



