世界で一番幸せそうに、笑え。



「彼女かぁ…はぁ…。」


横でため息をついた灯は、先月彼氏と別れたばっかりだった。

中学の時から付き合っていた彼と別れたと聞いた時は驚いたけど、その悲壮感は既に失われていた。

でもやっぱり、思い出すと寂しくなるものなのかな。


「灯、今は好きな人いないの?」


夏帆が屈託なくそう聞くと灯は、「流石に1ヶ月で気持ち切り替えるのは無理!よって今年はこのまま過ごしてクリぼっちも確定!」と、立ち上がって宣言した。

少し大きな声だったから、クラスの人達がこっちを見た。

それに気づいた灯は、恥ずかしそうにはにかめば、着席して私たちを見渡す。


「そういえば、依も結子も恋バナしないよね〜。」


不服そうにそう漏らすけれど、確かに好きな人以前に恋バナをしたことがない。

誰かをかっこいいと褒めたこともないし、気になると言ったことも無い。

夏帆は彼氏がいるから、たまに会話に惚気を混ぜてくるけど、そこから恋バナに発展したこと…って今まで無いかも。


「結子は恋バナあるもんねーっ!」

「ちょ、夏帆…!」