｢大橋、他校の彼女と別れたらしいよ｣
｢は？｣
一瞬で空気が固まった。私の周りだけ。
｢え、大橋、彼女いたの！？｣
｢知らなかった…。｣
固まった私には気づかず、灯と結子は口元に手を当てて笑いだした。
｢え、びっくり。｣
灯がそう言うのもその筈。私たちはあいつに彼女がいることなんて知らなかった。
クラスではお調子者で、可愛い子は好きだけど、男といる方が楽しいです！って感じだったのに。
だから私も安心してたし、今の関係が崩れるくらいなら告白なんてしなくていいやと思ってた。
だってそれは、あいつに好きな人なんていないと思ってたから。
自分は、クラスの女子の中であいつと一番仲が良くて、特別なんだ、って優越感に浸ってたから。
急に恥ずかしくなってきた。
今までの自分の想いはなんだったんだろう。
私が馬鹿みたいな勘違いをして、特別だなんて自惚れている時、あいつにはちゃんと好きな人がいた。
ちくりと胸が痛んだ。
