世界で一番幸せそうに、笑え。



目の前で結子は顔を真っ赤にしている。

こんな顔、朝も見たっけ。

今日は色んなことがありすぎて、気持ちが追いついていかない。


「え、夏樹…?」


聞いたのは自分なのだから、ちゃんと答えないといけないのに。

喉に言葉がつっかえて上手く出てこなかったかった。

多分、声が震えている。


「あーもうやだぁ…恥ずかしい…。」


私の声にはきっと気づいていない結子が、下を向いたままその恋の始まりを話し出す。


「ほ、ほんとにね、きっかけは小さなことなんだけど…。」


口から出るその言葉は、殆ど私の耳には入ってこなかった。