目の前で結子は顔を真っ赤にしている。
こんな顔、朝も見たっけ。
今日は色んなことがありすぎて、気持ちが追いついていかない。
「え、夏樹…?」
聞いたのは自分なのだから、ちゃんと答えないといけないのに。
喉に言葉がつっかえて上手く出てこなかったかった。
多分、声が震えている。
「あーもうやだぁ…恥ずかしい…。」
私の声にはきっと気づいていない結子が、下を向いたままその恋の始まりを話し出す。
「ほ、ほんとにね、きっかけは小さなことなんだけど…。」
口から出るその言葉は、殆ど私の耳には入ってこなかった。
