夏帆のその言葉に驚いた。
えぇ!?
「あーもう…自分で言うって言ったじゃん!」
「だって結子このままじゃいつまで経っても言える気してなかったでしょ?」
「確かにそうだけど!!!」
目の前で怒る結子と、笑う夏帆は、2人の世界に入っていた。
「えー、聞いてない!聞きたい!どういうこと!」
そう聞くと、結子は照れながらも話し出す。
「いやあのね、この前たまたま夏帆と2人で帰る時があって、その時に相談したの…、そろそろ灯と依にも話したいって思ってたからね!?隠してたわけじゃないから!」
早口でそうまくし立てると、1回深呼吸を挟んだ。
私も灯も、結子がわざと私たち2人に話していないわけではないことはわかっているし、それでもこうやって弁解するところが可愛いと思う。
結子からはこれまで、自分に関する恋バナを聞いたことがなかった。
だから勝手に、自分と同じで話すのがあんまり好きじゃないのかなって思ってたけど、ただ単に好きな人がいなかっただけなのか。
結子は大きな瞳に、抱きしめるのに最適な身長。笑うと花が咲いたように周りが明るくなる、っていうのは使い古された表現かもしれないけど、まさにそんな女の子。
さらに優しくて、気遣いもできて、人のことを自分より優先しちゃう女の子。
だからきっと、結子に好きになられたら好きにならない男子なんていないと思うんだ。
「あのね…、大橋くんのことが、好きなの。」
