「キミもドクターなら、何を優先すべきか考えたまえ。そして、彼を信じるんだ。彼ならこの症例を救える・・と。」
自分が彼女を助ける
自分が彼女を助けられる
彼女に再会してからずっとそう思っていた
「キミがそこまで取り乱すなんて、この症例に何か思い入れでもあるのか?」
『・・・・・・・・』
「もし医師の立場での思い入れでないのならば、キミはこの症例から手を引くべきだ。もし、ウチの大学に胎児の手術ができる医師がいたとしても、私情を拭えない人間は関わるべきではない。」
でも、こういう状況に陥って
それは自分の思い込みに過ぎないことを知った。
学生時代からの俺を知る三宅教授の言う通り
冷静でいられない俺は
医師という立場で伶菜と胎児の命を救えないだろう
『転院するように患者に勧めます。』
「わかった。私からも彼に依頼する。」
『よろしく・・・どうか宜しくお願いします。』
彼女を救おうとする手が届かなくなった俺は三宅教授に深々と頭を下げた。
そして、名古屋医大から戻って来た俺は早速、産婦人科病棟ナースステーションに向かった。



