その俺の言葉を、ゆっくりと頷きつつ自分は助けられたとも訴えながら聞いてくれた伶菜。
彼女はそれらを言い終えた俺の目を見て、ゆっくり瞬きをしてから微笑み、わかったよと言わんばかりにまたひとつ大きく頷いてくれた。
その瞬間、俺の中で広がったのは ”受け入れてもらえた” という手応え感。
そして、”もう自分の本当の感情を抑え込まなくていい” という安堵感をも手にした俺は
『だから、これからも俺とずっと・・・・』
「・・・・・・ずっと?」
『・・・・ずっと一緒に居て欲しい。』
伶菜の前で口にしてはならないと思い込んでいた言葉であり、本当の想いをも自ら曝け出した。
そんな俺に伶菜は今にも泣き出しそうな顔して微笑みながら、
「・・・・・私も・・・私もずっと一緒にいたい。」
俺がずっと欲しがっていた言葉を
俺に与えてくれたんだ。
ただ、ついさっき、まだ名古屋にいた時に、俺のことをシスコンだと言ってのけた伶菜。
多分、俺達が血が繋がっていないことを知っていながらも、俺がその事実を知らないと思った故の発言なんだろう
だから、俺が一緒に居たいという本当の意味を、
もしかしたらまだわかっていないかもしれない
それに俺もまだ、兄妹だと嘘をついたことをちゃんと謝っていない
曖昧な表現で済ませてしまうのは俺の悪い癖
でも、今はそれも払拭しないと俺は先に進めない
はっきりと
明確に
伝えなくてはならない
そう思った俺は
『ゴメンな・・・兄妹だったなんて嘘をついてた形になってしまってな・・・』
はっきりと兄妹だったという嘘を口にして謝罪した。
それなのに、
「でも、私にとって、幸せな嘘だったの・・・」
嘘という許されない事柄を幸せだと口にした伶菜。
嘘なんか許されないだろうという俺の想像を簡単に翻す彼女に対して、申し訳なさと同じぐらい
愛しいという想いが膨れ上がる
俺のネガティブな想いを、ちゃんと受け止めてくれる
しかも、前向きにしてくれるように
それは今だけじゃない
自ら主治医を降りると伝え、どうしようもないやるせなさを感じた時に、他の患者のためにも医師でいて・・と背中を押してくれた時
そして
後輩医師の久保を救ってやれなかったという自責の念にかられていたあの時も、
大丈夫だと祈るようにそっと俺を見守る彼女の姿を見つけただけで、もう一度立ち上がろうという気にさせてくれた時もだ



