「これって・・・」
『似合うな。』
ウエディングショップ店員を介してようやく準備できたウエディングベールを自分の手で彼女の頭の上からかけてから、入江さんから譲ってもらった答案用紙を彼女の手に託した
入江さんから譲ってもらった解答用紙
・・・俺の氏名を既に書き込んである婚姻届
しかし、
「知っていた・・の?私と血が繋がってないってことを・・・」
『・・・ああ。』
「知ってたん、だ・・・・」
『・・・・ああ。』
血の繋がりがないということを知っていたような伶菜の口ぶりに
逆に俺が驚かされた。
いつからそれを知っていたのか
どこから知ったのか
それは俺にはわからない
でも、それを今、彼女に問い質したとしても
俺が彼女に自分達は兄妹だという嘘をついていたことは
変えることのできない事実
そういう状況に至った経緯とそれに対する謝罪をしなければ、
俺にはこの先、彼女とともに歩む資格はない
そう思った俺は
『幼い頃、俺達は兄妹として育った。』
今までの自分というものに嘘をつくことなく、
『親父の死後、俺達は生き別れ状態になった。けれども、偶然、ああいう形で再会して、お前の主治医になった俺は、兄という立場も消して主治医という立場に徹しようと思った。』
『でも、主治医でいられない状況になって、お前との接点がなくなるとわかった時、俺は兄という立場にすがるしかなかった。今頃になって言い訳するとか、ズルイよな・・・』
『だから、兄という立場でずっといるつもりだった。そうやって大切にする方法もあるって。』
『だから、お前の婚約者が現れて、彼の元へお前が行くことも受け入れようと思った。それがお前にとって一番幸せな方法なら仕方がない・・って。』
『でも、引越しの日である今日という日・・・・俺は自分の気持ちに嘘をつけなくなった・・・お前が俺の元から居なくなることなんてもう、考えられないって。』
格好悪いことを承知の上で伶菜に全て曝け出した。



