ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



「何?お兄ちゃん、何?」

『伶菜・・・』

「コレ、どういうこと?」


今までの状況をどう説明しようか
これからを見据えた俺の想いをどう伝えようかという迷い

それらは動揺を隠せていない声色の伶菜によるその問いかけで吹き飛んだ

ややこしい言葉とか格好つけたりする言葉を使ったりして
余計に動揺させてはダメだ
俺らしく伝えればいい


「お前もパズルのピース持ってるだろ?今、ここで出してみて。」

頭の中をそう切り替えずにはいられなかった。



伶菜は緊張した面持ちで俺に言われた通り、まずはオルゴールからパズルを取り出し、台の上に置いてくれた。

それは今までずっと俺が持っていたピース。
台の上でそれらを組み合わせているうちに、今度は伶菜が持っていたピースが差し出された。

俺がそれを受け取り、組み合わせても完成するそのパズル

でも、そのパズルの完成形が意味することを
伶菜自身の手で実際に感じ取って欲しい

そう思った俺は伶菜に手を貸すことなく、自分でそのピースを嵌めるように促す。


彼女は戸惑いながらも、ゆっくりとそれらを()めこみ、

「これって・・・・」

『コレは親父が作ったパズルなんだ。』

完成させたパズルを細い指でそっとなぞった。

愛おしそうに何度も何度も。


そして、”your baby” という文字が刻まれたピースの上で指を止めた瞬間、彼女は何かを探ろうというような目で俺の瞳を覗きこんだ。


生前の親父が刻んだ
”naofumi” と ”reina” というピースの間に挟まれたそのピースの意味
それが伝わったのかもしれない

血の繋がりというものが、俺達の間にはないという意味

そして

俺達はずっと一緒に居てもいいという意味が・・・・



そう思った俺は

『ここに、お前の名前、書いてくれる?』

その意味を自分の手で、そして、伶菜の手で現実のものにしようとした。