ひとりになった私の視界には
深紅のカーペットが敷かれたバージンロード。
左斜め前方には天井まで高くそびえ立つ迫力のあるパイプオルガン。
そして
大きな十字架。
『やっぱりチャペル・・・だよね。』
以前はこういうの凄く憧れたな
亡くなってしまったお父さんとバージンロードを歩くことはできないけれど、
いつか、一生一緒にいたい人の元へ歩いて行きたい
そう思ってた
でも、康大クンに捨てられたと感じた時は、そういう幸せな世界と自分は縁がないもの・・・そう思ったりもした
そんな私が
今いるこの場にふさわしい格好をしているのは
なぜ?
しかも、ここまで連れてきてくれたのは
お兄ちゃん
彼以外に誰もいないということは・・・
まさかね
そんなコトあるはずないよね?
ギイィィィ
再び鈍い音を立てながら開いたそのドアの向こう側。
そこには白いYシャツにグレーのズボンを穿いたお兄ちゃんがドアノブに左手をかけたまま立っていた。
その姿に驚かずにはいられなかった私は手にオルゴールの箱を持ったまま、立ち上がる。
紺と白のストライプ模様のネクタイを締めながら歩くお兄ちゃんはどんどんこちらのほうへゆっくりと近づいてくる。
そして私の目の前で立ち止まったお兄ちゃんは私の鞄を肩に提げたまま、私の腕をゆっくりと引っ張る。
私は、赤いバージンロードの上を彼に誘導されながら、結婚式で神父さんが立っているあの台の前まで連れて行かれた。
もちろん神父さんはいなかったけれど。



