ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



だから俺はちゃんと正解を求める

伶菜を幸せにしてやれることに繋がる正解はきっと
兄貴だから大切にするという愛ではなく
彼女を大切に想う男の愛を
わかりやすい形にすることなんだろう


しかも、じっくりと時間をかけてじゃなく、
元彼に裏切られて、心に大きなダメージを受けている今

今すぐに・・・だ



『手に持っているその解答用紙、俺に譲って下さい。』



本当はその解答用紙は自分で入手すべき

でも、それを今からしていたら俺は
今すべきことのタイミングを逃してしまうだろう


「ここ一番で100点取るんだな。お前は。」


手渡された解答用紙に添えられた入江さんからのその珍しい褒め言葉。
それは今から自分がしようとすることが間違いではないことを肯定してくれたみたいで。

俺は安堵せずにはいられなかった。




『入江さん・・・』

「ん?」

『ありがとうございます。』


だからちゃんとお礼を伝える。


「礼は成功してから聞くよ。お前は伶菜さんの兄貴という立場だったんだから、壁は高いぞ。なんせ伶菜さんは真面目で他人を疑ったりしないから、お前が兄貴という壁を壊すのは、並大抵なことじゃないかもよ。」

『壁・・・』

「ああ、しかも、駆け落ちするはずだったみたいだから、完璧、説明不足に、準備不足だろ?」


彼がここまで来てくれた本当の理由は
邪魔なんかじゃなく
俺が自分の気持ちをわかりやすい形にする手助けをしてくれたということをちゃんと認識したから。


『だからコレを・・・』

「そういうこと。」


ようやく素直になった俺の肩をポンっと叩いた入江さんは、
”彼女を幸せにしてやることこそお前の幸せだろ?” という問いかけを投げかけて、
伶菜が戻ってくるのを待つことなく高島さんと共にここから立ち去った。