「兄貴という立場で伶菜さんを見守るのを卒業しようと思ったことは正解だ。でも・・・」
目をしかめた彼に凝視されていて、もう逆らったりなんかできない俺は彼の言葉の続きに素直に耳を傾ける。
「駆け落ちという形で世間から顔を背けながら彼女と一緒にいようとしたことは、明らかに間違いだ。」
『・・・・・・・』
「正々堂々と彼女と一緒に居られて、ちゃんと幸せにしてやれる正解を探すべきなんじゃないのか?」
『・・・・・・・』
でも、こうやって説教する余裕があるらしいし、
彼の失恋を心配するのはどうやら取り越し苦労のようだな
それよりもどうやら俺は自分のことを心配すべきらしい
正々堂々と彼女に一緒に居られて、ちゃと幸せにしてやれる正解を探すということを
それをいつかは・・と思ってはいた
でも、その一歩を踏み出す前に伶菜の元彼が出現したことで、彼女を幸せにするのは自分ではないと思わされた
でも、今は ”自分ではない” なんて思わない自分でありたい・・・強くそう思う
そういえば入江さんにもまだ話していなかった
でも、長年、俺と付き合いのある入江さんは俺の態度とか言動から勘付いていたようだ
伶菜が自分の妹なんかじゃないことを・・・
「でも、伶菜さんに出題した問題のほうが難しいかもな。」
『伶菜にも?』
「ああ・・・今頃、必死に考えてるだろうな。彼女はまず状況把握ということから始めなきゃいけないだろうから。」
それに、俺がしようとしていること
兄妹という関係は偽物であり、彼女にスキだという想いを伝える
それを今ひとつ上手くやれていないということまでも見透かされている
そして、彼が今、ここにいるということ
それは俺のそういうお粗末な状況を知り、居ても立ってもいられなくて、ここまで来てしまったという彼のお節介故の行動ということも気が付かずにはいられなかった。
「そろそろ、正解、わかったか?」
だからもう、突っ撥ねる態度を取るのはやめよう
無駄な抵抗に過ぎないから
それに折角、背中を押してくれようとしてくれているんだ
たまには、素直になることも悪くないかもしれないしな



