ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



高速道路に乗るの?
どこ行くんだろう?遠いところ?
しかも、東京方面に曲がって行った

もしかして、東京の日詠先生のところ?


珍しい
というか、今までも東京に帰省するようなことはなかったけれど
帰省するのかな?手土産持ってきてない

いくらよく知ってる人でも失礼だよね?
っていうか、祐希を連れてないのに
何しに行くの?



『私、急だったから、手土産持ってきてない・・・上郷サービスエリアとかに寄って欲しいかも・・・名古屋名物買っていかなきゃ・・・』

私は車のギアハンドルに左手をかけていたお兄ちゃんの袖をクイクイと引っ張りながらそう訴えた。


「いらないよ、手土産なんて。」

『だって、いくらなんでも手ぶらでお邪魔するのは失礼なんじゃ・・・』

「だってお前、どこ行くの?」


どこ行くのって・・・私が聴きたい

福本さんには、”ふたりでじっくり話をしなさい” ”彼の想いに耳を傾けてあげて” とは言われてるけれど

どこへ行って、何を聴けばいいのかな?
でも、取りあえず今のこの状況を確認・・・だよね?


『・・・東京の日詠先生のトコじゃなくて?』

「何をしに?」


何をしにって・・・
それこそ私が聴きたい!
あんな風に引越しを阻止されてまで、お兄ちゃんは私を引っ張り出そうとしたんだから!!


『・・・何をしにって・・・それはこっちが聴きたいです!っていうか・・・そうじゃないの?』

「ああ、申し訳ないけど違うところ・・・・父さんのところはまた・・な。」



違ったんだ、手土産なかったしね
せっかく手土産を持参するならサービスエリアで手に入るモノより、名古屋人しか知らない名物とかを持参したいしね


でも、またなっていうコトは
いつか一緒に行くの?

それって微妙だよ
お兄ちゃんと東京の日詠先生って
ふたりきりになると会話成り立たなさそうだし


でも

お兄ちゃんは医大入学で名古屋へやってきてから今までほとんど東京の日詠先生のところに帰ることはなかったって言ってたけど
なんでまた今度行くなんて言うんだろう?

法事?親戚の結婚式?
それとも
今年の夏の祐希の心臓の検診に付き添ってくれるの?

いずれにせよ、お兄ちゃんと一緒に東京の日詠先生に会うとなるとなんだか大変そうだな
ふたりが仲良く会話するイメージが浮かばないし


そういうやり取りをしているうちにもクルマはどんどん前に進んでいて、今度は音羽蒲郡インターを降りた。